秋と春か夏か冬〜番外編00話『始まり』〜-3
「ここ……どこ?」
気付くと僕は迷子になってしまった。最初は手当たりしだい歩いていたが、5分くらいたつと…
「ひっく……まっくらだよぉ……うぅ、パパ…ママ…きょうすけくん……」
泣きだしてしまった。僕は昔から暗いのが大の苦手だったんだ。でもそのとき、後ろから声がした。
「ハァハァ……呼んだ?なつき」
そこには息を切らしたきょうすけくんが、懐中電灯を手に持ちながら来てくれた。
「まったく。くらいのに森のなかに入っちゃだめだよ。あぶないだろ」
「ぅぅ〜…こわかったよ〜……きょうすけくん!」
僕はきょうすけくんに抱きついた。
「わっ!だきつくなよ。は、はずかしいだろ!それにあぶな…」
ドスーン!
勢い余って2人で転んでしまった。
「いてててて…なつき、だいじょうぶ?」
「うん。ぼくはへいき。でも…またまっくら…」
「あっ…」
今ので懐中電灯が壊れてしまったようだ。
「きょうすけくん……くらいのこわい……ひっく……」
僕はまた泣きそうになる。
「だ、だいじょうぶだ!俺にまかせとけ!俺がいればこわくないよ。だから泣いちゃダメだぞ」
「……うん…」
「それにほら!こうやって手をつないでれば、はなれらんないだろ?」
「うん♪」
「よし…泣きやんだな♪じゃぁとりあえず歩いてみよう」
きょうすけくんが来てくれたから…僕はもう怖くなかった。僕を探しに来てくれたきょうすけくんが嬉しかった。
僕が抱きついたせいで懐中電灯が壊れたのに、全然怒らない優しいきょうすけくんが嬉しかった。
2人で月の明るさだけを頼りに歩く。
それでも親たちは見付からない。
「きょうすけくん……すこし…つかれちゃった…」
子供のころはなんてワガママだったんだろうと、今になって思う。それでもきょうすけくんは嫌な顔1つしない。
「う〜ん……よし、あそこで休もう」
そこは大きな樹の幹、ちょうど2人くらいが入れるスペースがあった。そこで2人で座り込む。
「きょうすけくん、ごめんね……僕をさがしにきてくれたのに………おこってるよね?僕…きらわれちゃった…」
申し訳なさと、嫌われたと思う気持ちで…再び泣きそうになる。