投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

秋と春か夏か冬
【学園物 恋愛小説】

秋と春か夏か冬の最初へ 秋と春か夏か冬 139 秋と春か夏か冬 141 秋と春か夏か冬の最後へ

秋と春か夏か冬〜番外編00話『始まり』〜-3

「ここ……どこ?」

気付くと僕は迷子になってしまった。最初は手当たりしだい歩いていたが、5分くらいたつと…

「ひっく……まっくらだよぉ……うぅ、パパ…ママ…きょうすけくん……」

泣きだしてしまった。僕は昔から暗いのが大の苦手だったんだ。でもそのとき、後ろから声がした。

「ハァハァ……呼んだ?なつき」

そこには息を切らしたきょうすけくんが、懐中電灯を手に持ちながら来てくれた。

「まったく。くらいのに森のなかに入っちゃだめだよ。あぶないだろ」

「ぅぅ〜…こわかったよ〜……きょうすけくん!」

僕はきょうすけくんに抱きついた。

「わっ!だきつくなよ。は、はずかしいだろ!それにあぶな…」

ドスーン!

勢い余って2人で転んでしまった。

「いてててて…なつき、だいじょうぶ?」

「うん。ぼくはへいき。でも…またまっくら…」

「あっ…」

今ので懐中電灯が壊れてしまったようだ。

「きょうすけくん……くらいのこわい……ひっく……」

僕はまた泣きそうになる。

「だ、だいじょうぶだ!俺にまかせとけ!俺がいればこわくないよ。だから泣いちゃダメだぞ」

「……うん…」

「それにほら!こうやって手をつないでれば、はなれらんないだろ?」

「うん♪」

「よし…泣きやんだな♪じゃぁとりあえず歩いてみよう」

きょうすけくんが来てくれたから…僕はもう怖くなかった。僕を探しに来てくれたきょうすけくんが嬉しかった。
僕が抱きついたせいで懐中電灯が壊れたのに、全然怒らない優しいきょうすけくんが嬉しかった。

2人で月の明るさだけを頼りに歩く。
それでも親たちは見付からない。

「きょうすけくん……すこし…つかれちゃった…」

子供のころはなんてワガママだったんだろうと、今になって思う。それでもきょうすけくんは嫌な顔1つしない。

「う〜ん……よし、あそこで休もう」

そこは大きな樹の幹、ちょうど2人くらいが入れるスペースがあった。そこで2人で座り込む。

「きょうすけくん、ごめんね……僕をさがしにきてくれたのに………おこってるよね?僕…きらわれちゃった…」

申し訳なさと、嫌われたと思う気持ちで…再び泣きそうになる。


秋と春か夏か冬の最初へ 秋と春か夏か冬 139 秋と春か夏か冬 141 秋と春か夏か冬の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前