秋と春か夏か冬〜番外編00話『始まり』〜-2
「あっ、杏子!おやじ!ここだよここ。せっかくだからさ、メシいっしょに食べさしてもらおうぜ」
「なにやってんだぁーお前は!」
がつん!
男の子…きょうすけくんが女性に頭を叩かれていた。
「いってーなー!叩くことないだろ!」
「始めて会った方に面倒をかけるな!まったく」
「そうだけど…友達になったもん!だよなっ?なつき!」
「うん♪」
僕は笑顔で頷いた。そして僕のパパが喋る。
「あのぉ、よろしければご一緒しませんか?子供たちも仲良くなったことですしね♪」
「でも…悪いですよ」
「いいじゃん杏子!ごちそうしてもらおうよ」
「おまえは黙っとけ」
「遠慮しないでください。みんなで食べた方がおいしいですから」
こうしてお友達になったきょうすけくん。それとその家族でバーベキューを食べた。
それからの僕はきょうすけくんとたくさん遊んだ。
「きょうすけくん!きょうは近くの川までいこう♪はやくはやく!」
「わかったから!ひっぱるなよ、なつき」
後ろで僕のママと杏子って女性が話している。
「すっかり恭介くんと仲良くなっちゃって♪」
「遊び相手が出来て、私がキャンプに来た意味ないんじゃないのか…?」
「まぁまぁ杏子さん。たまにはのんびりするのも良いですよ」
「…ふっ。そうですね」
どうやら、ママと杏子さんたちも気が合うらしく仲良くなったようだ。
僕はきょうすけくんと色々話をした。
「ねぇねぇ、きょうすけくんはどのくらいこっちにいるの?」
「ん〜5日くらいかな」
「そうなんだぁ…僕よりさきにかえっちゃうんだね……」
「でもまだ2日目だろ?まだまだ時間あるし、たくさんいっしょにいられるよ!」
「うん♪」
毎日毎日…いっぱい、きょうすけくんと遊んだ。
でも4日目の夜。
明日きょうすけくんとお別れするのが嫌で、僕は1人で逃げ出してしまった。
目の前の現実を受け止めたくなかったから…。