冷たい情愛Die Sekunde-4-1
彼の部屋から出勤することになるので、私はいつもより多めの荷物を持ってきた。
話しておけなければならない…
一体どんな話なのだろう。
彼は、小さなキッチンでコーヒーをいれるための湯を沸かしている。
私は手持ち無沙汰の状態が耐えられず、彼の横に移動する。
「ねえ、話って何?」
「コーヒーいれてからね」
彼は、私に言うというより自分に言い聞かせるように呟いた。
テーブルにカップを運ぶ。
その後彼は、クローゼットを開け…その奥からアルバムを取り出した。
分厚いものから、簡単なものまで…彼の全部の年代が揃っていた。
こういう時は古いものから見るのが普通だと思ったので、私は表紙に古い年号が書いてあるアルバムを手に取った。
そこには、彼が生まれてすぐの写真。
父親らしき男性が、自分の腹部の上に新生児の彼を乗せている写真。
「この人が、お父さん?」
「そう、小学生の時に肺がんで亡くなったんだけど…優しい父親だったよ」
彼の父親は、子煩悩だったのか…私の家と比べて、かなりの写真が残っている。
私の父など、仕事ばかりで一緒に写真を撮ることなど殆ど無かった。
それとは逆に、彼の母親が写っているものが少ない。