冷たい情愛Die Sekunde-4-9
「違うんだ」
「じゃあ、何?」
私は笑顔で彼を見つめる。
「先生には、別の女がいると…義父と義姉に言ったのは俺なんだ」
「え?」
私は、何が何だか分からなくなっていた。
「でも…義姉は、少し悲しそうに笑いながら言ったんだ」
あの人は、遊びでそんなことをする人じゃない。
今までずっと、家族のために頑張ってきた人なのだ。
私との結婚話が進んでいるのも、彼からすれば不本意だろう。
だから、今だけは…彼が他の女性を愛していても…
私はそれを責めることは出来ないと。
「でもね…彼がいないと…私は生きていけない。ずるいよね…」
まだ10代の遠藤くんに、義姉はそう言ったそうだ。
しかし納得できなかった彼は、義父にもそれを告げてしまった。
「義父も、決して悪い人ではないんだ」
彼は私にそう言った。
結婚を急ぐように言ったのも、貸与した金や自分の事業の都合で言ったわけではなく…