冷たい情愛Die Sekunde-4-8
「ばれたらまずいし、息を潜めるのに必死だった」
先生と私だけの空間だったはずだった。
「すごくショックだったよ。嫌、ショックなんてもんじゃなかったな…」
彼は独り言のように呟く。
「一目惚れした相手が、目の前で義姉の恋人とセックスしてるんだから」
彼は、少しだけ悲しそうな顔をした。
自分もショックだったがそれ以上に…
神崎という男を一心に信じている義姉のことを思うほうが辛かったと。
「でもその反面、目が離せなかった。思春期で刺激されたってのもあるけど…」
彼は言葉を続ける。
「先生と紘子がすごく強い繋がりで、誰もそこには入らせない…ってオーラがあったんだよ」
私は何と答えればいいのだろうか。
「紘子に、謝らなきゃいけないことがあるんだ」
「覗き見したこと?」
私は出来るだけ冗談らしくそう言った。
無理しているわけではない。
私と先生も悪いのだ…学び舎であんなことをしていたのは自分たちなのだから。