冷たい情愛Die Sekunde-4-6
しかしそこには…
先生のすぐ横に、嬉しそうに立つ…
遠藤くんの義姉の姿があった。
写真を見るたけですぐに分かった。
彼女が笑顔であるのは、義弟のお祝いだからというだけではない。
愛する人のすぐ傍にいることの出来る幸せが溢れ出ている。
今の私には、この写真が何を意味するのか分かってしまった。
彼の義姉は、先生のことが好きなのだ。
そして、公の関係である理事長の家で一緒にいるということは…
公に出来る関係だということだ。
ふるさとで先生を待っていた婚約者…
「先生の結婚した相手って…お義姉さん?」
「そういうことになるね」
「先生は…遠藤くんの…義理のお兄さん…」
私は、呪文を唱えるようにゆっくり確実に繰り返す。
「遠藤くんは、あの頃から全部知ってたんだね」
私は、彼の方を見ずにそう呟いた。
「先生と紘子の関係を知ったのは、高校に入学してからだけど」
陸上部に入ろうと、部活を見学していた時に彼は初めて私の姿を見たのだと言う。