冷たい情愛Die Sekunde-4-5
「でも…先生が遠藤くんにも勉強教えてたのは驚いた」
その時気付いたのだが…私には不安な要素が一つあるのだ。
いくら昔の恋とは言え…
先生本人と会ってしまえば、暫くは感情が乱れるはずだ。
遠藤くんは、もしかしたら…
先生の「今」を知っているのではないか。
彼が話しておかなければいけないと言ったこと。
それは彼の家庭の境遇や過去の愚弄な行為ではなくて…
私が知らない、自分と先生との 『繋がる線』 のことなのではないだろうか。
私との関係を、未来に繋げる関係へと移行するには…
避けて通れない線…
私の考えが正しければ、彼が何も話してくれなかったのが納得できる。
「向こうは、いやいや教えてたけどね」
「え?先生そんな人じゃないよ」
神崎先生は、学ぶ意欲のある人間を決して拒んだりしない。
それは特別な関係だった私にだけでなく、どの生徒に対してもそうだった。
「彼にとって、俺は見張り役みたいなものだったからな…」
彼はそう呟き、更に次のページを開く。
そこには、先ほどと同じ時に撮影された写真。