冷たい情愛Die Sekunde-4-3
「母が何でも積極的にこなすタイプで…だから余計に、義姉がそう見えてしまったのかもしれない」
その頃から、彼は急激に道を逸れ始め…手が付けられない程になっていた。
義姉は、そんな彼を心配し…東京から頻繁に戻ってきていたらしい。
しかし、そんな彼女の気持ちも分からず…更に反抗的になり、法を犯すことも平気になっていった。
「東京に預けられる事を両親に薦めたのも、義姉だったんだと後で知ったんだ…」
義姉は、普段は内向的で何も出来ない女性だったらしいが…
彼のことに関してだけは、本当に熱心に援助してくれたらしい。
「俺がどんなことを仕出かしても、優しかった…」
彼が警察沙汰を起こし保護される時も、義姉は東京からそのたび戻ってきていたのだという。
「義姉がいなかったら、俺はあのまま駄目になってたんだろうな」
その後、東京の知人宅に預けられた彼。
その知人が理解ある教育者であり、義姉と共に自分を助けてくれたのだという。
「それって、理事長先生だよね」
「そうそう…あの人、変わってるからな」
「分かる気がする」
理事長はとにかく変わった人で、ディベート大会や座禅など、授業以外の行事も盛んに行われていた高校だった。
「でも、よく立ち直ったね」
「厳しかったよ、勉強と決めた時間は部屋に軟禁されてた」
彼は少し笑って言った。