冷たい情愛Die Sekunde-4-2
「父がいつも俺と写りたがるから、母親は撮る側ばかりだったんだ」
その事で、よく母親が文句を言っていたらしい。
写真は、彼が小学校を卒業する前あたりから急に少なくなっている。
父親が亡くなり、母親も働くのに必死で…暫くは写真を撮る機会が無かったと。
次のアルバムは、それまでのアルバムと違い…ただ乱雑に写真がポケットに入れられている。
順番も適当なのか、季節が逆になっていたりする。
彼の母親と、身なりの良い紳士的な男性、鋭い目つきで制服を着ている遠藤くん…
それと…
髪が長く、今にも折れてしまいそうな程細く美しい女性が4人で写っている。
「遠藤くんのお母さん、やっぱり綺麗だね」
彼の母親は美人の類に入る。
そして…もう1人写っている若い女性も。
しかし、彼の母親とは全く違うタイプだと一目で分かった。
「これが、義理のお姉さん?」
「ああ」
彼が更正するのを助け、支えてくれた義理の姉。
「義姉をよく知らない人は、金持ちの箱入り娘…と思ってたかもしれないね」
実際自分も、義姉と初めて会った時…何不自由なく育った女だろうと思ったと。