冷たい情愛Die Sekunde-4-16
「おい、仕事しろよ」
突然、現実に引き戻される。
私の背後には片山がいた。
「引継ぎの資料、読み終わったのか?データも転送しといたぞ」
パソコンの画面には、片山からのメールも届いている。
「あ…まだ目を通していなくて…」
私は、情けないほど小さな声で答えた。
「ったく、女はこれだから」
「すみません…」
普段なら、男尊女卑的な発言に過剰な程反応する私も…
さすがに今日は、まともに反論できる元気がない。
「…わざと言ったんだよ」
「え?」
「何かあったんだろ」
相変わらず、片山は読みがいい。
「片山さん、今夜空いてますか?」
「お、デートか?」
からかうように片山は言う。
私は、ほんの少しだけ笑顔になった。
・・・・・・・・・・
片山は、こんな情けない部下でも…黙って付き合ってくれる。