冷たい情愛Die Sekunde-3-9
「ちょっと!見られたらどうするのよ」
「見たい奴には見させておけばいいよ」
「変態っ!!」
彼は大笑いしている。
彼は、私をからかって笑うことが多くなったと思う。
まるで子どもみたいなのだ。(やること自体は子どもではないが)
こういう一面を見た当初は、普段とのギャップに驚いたものだが…
今は、こういう彼が、本当の彼なのではないかと思っている。
「こないだは悪かった」
母親を私を置いて仕事に戻ったことを言っているらしい。
「大丈夫、いろんな話も聞けたし」
「母さんから後で電話きたよ、みっともない話聞かせてごめんな」
私は、父と話した時に感じたことを彼に言ってみた。
「お母さんが、生活のために再婚したと思ってたの?」
「中学生の頃はね。なんで男にベタベタして再婚するんだって思ってた」
「母親を取られると思った?」
「取られるというよりは、男に頼らなきゃお前は何にもできないのかって思ったんだ」
しかし、そこからは私の想像と少し違っていた。
「ところがさ…義理の父は自営だったんだけど、あの人、さっさと仕事乗っ取っちゃったからね」
夫の自営を手伝ううちに、力をつけ…最後には、自分が新しい事業を立ち上げてしまったのだという。
今では、夫の元の仕事より収益を上げ…規模も大きくなっていると言う。