冷たい情愛Die Sekunde-3-16
「僕はさ、紘子が成長するために…何がしてあげられるのかな」
「私こそ不安だよ、あんまり自分のこと話してくれなかったし」
私も正直に自分の気持ちを伝えてみた。
お互いの気持ちを知れて、安心するのもつかの間で…
しばらくすれば…また不安で仕方がなくなってしまう。
相手が何を望んでいるのか…
何処を好きでいてくれているのか…
他の人のほうが、魅力的なんじゃないか…
そんな不安が、次から次に押し寄せる。
でも、その不安は…相手に伝えて分かり合うことでしか、消し去る方法はないのかもしれない。
今、私は彼に…それが出来るようになったのだと思う。
彼も私に、自分を素直に伝えてくれていると思う。
しばらく二人でのんびりした後、車に戻り公園を後にした。
あれだけ強気だった私も、久しぶりの運動にぐったりし…帰りは彼が運転してくれた。
「そうそう、私がお弁当作ってたら、お母さんが凄かったの」
私は早朝の出来事を彼に話した。
「紘子のお母さんって、にぎやかそうな人だね」
「遠藤くんのお母さんみたいに、素敵な人ならいいけど…典型的なおばさんだよ」
私は、朝から30過ぎた娘がお弁当を作るだけで大騒ぎする母を思い出した。
私の母はずっと専業主婦だったが…あの人なりに幸せだったのかもしれない。
人の世話が好きで、おせっかいで…心配性で…。