冷たい情愛Die Sekunde-3-13
「そろそろお弁当食べようか」
私は起き上がり、お弁当を広げる。
「彼女がお弁当作ってくれるなんて、ベタだけどやっぱりいいよな」
彼は嬉しそうにからあげを口に運ぶ。
「え〜、遠藤くんもそんな願望あったんだ」
私はわざとらしく、大きな声で言った。
「女に料理作ってもらうって、男は好きなんだね」
少し皮肉交じりに言うと、彼はそれを見透かしたように答えた。
「ちょっと違うな」
「へ?」
私はおにぎりを食べながら返事をする。
「間の抜けた顔だなあ」
「それ、職場でよく言われた…」
私が食事をしながら、パソコンを打つ顔を見て片山がよくそう言っていたのを思い出した。
「百年の恋も冷めるよ」
「え、それ酷い…」
「でも、その顔を見ても、まだ紘子の事が好きな男は…本気ってことだよ」
「じゃあ、遠藤くんは?」
「俺はもっと酷い紘子の顔見たことあるから」
どうも、寝ている間に口を開いて涎を垂らしていた事があったらしい。
私はそれを聞き、あまりの恥ずかしさに発狂しそうになる。