冷たい情愛Die Sekunde-3-12
「小学生に負けてるじゃない!」 私は焦る。
「当たり前だろ」 遠藤くんは半分呆れて言う。
私は負けじと、必死に立ちこぎを始めた。
「よせって、後でくるぞ!」
彼の忠告を無視し、私は必死で前に進もうとする。
「おいっ」
彼も本気を出したらしく、一気にスピードを上げてきた。
頭の中が真っ白で、苦しいのに気持ちがいい。
何も考えない…ただ汗をかく。
「子どもに負けてたまるか!」
私は意味もなくテンションを上げた。
がしかし、体力が続くわけもなく…途中の芝生の広場で休憩することにした。
「負けず嫌いもいいけど、小学生相手にムキになってどうするんだよ」
シートを広げ、彼はすぐさま横になって言った。
「子どもも大人も関係ないもん。真剣勝負」
私はいつもの通り真剣に答えるのに、いつも彼は失笑する。
「紘子も子どもだよなあ」
「遠藤くんだって、車で悪戯するお子さまじゃない」
「触りたくなる胸してる紘子が悪い」
「バカ」
会話の流れが、最近はいつもこうだ。そして最後は二人で笑っている。
寝そべったまま空を見ると、きれいな青。