フリースタイル3〜前半〜-6
「あれぇ?恭介に実香ちゃんやないの。なんや、珍しい組み合わせやな」
後ろから肩を掴まれ、振り返ってみるとそこにはヒカルくんがいた。
「よう」
恭介は横目でちらっとヒカルくんを見て、短く返事した。
「相変わらず冷たいのー、恭介は」
ヒカルくんはそんな恭介にお構いなしに恭介にひっつく。
「暑苦しいんだよ、てめぇは」
それでもやめないヒカルくん。
なんてゆーか、これが幼なじみってもんなんだろうか。
あたしにはいないから分からないけど。
「そういえば達也は?」
ヒカルくんが辺りを見回して言う。
「沙織とラブラブ中」
恭介はカウンターにドリンクチケットを渡しながら言った。
会話の内容はよく分からないけど、ちょっと気になる。
「そんな事言ってると、また沙織に怒られるで」
「もう慣れた。……なに飲む?」
「あ、俺これから出番やねん。酒は飲めへんわ」
恭介はふぅ、と小さくため息つくとあたしを見た。
「あ、実香ちゃんも飲ませんといて」
ヒカルくんがすかさず言うと、恭介は何もいわずカウンターの方をくるっと向いた。
「ウーロンハイとオレンジジュース」
出てきたオレンジジュースをあたしに渡すと恭介はふいっとどこかに行ってしまった。
追いかけようと思ったけど、ついて来るなと言われたら、と思うとできなかった。
「今日は来てくれてありがとうな、実香ちゃん」
ヒカルくんがあたしの肩を抱きながら言う。
なんだかなー、なんで恭介といい軽い人が多いの?
まぁ、いいんだけどね。