フリースタイル3〜前半〜-3
「実香も今日誘おうと思ったんだけど、その必要はなかったみたいね」
「…なんか緊張してきた」
「なんでよ?あたしと一緒にkyouzと話せばすごい自然じゃん」
沙織は笑いながら言うと、呼び出しボタンを押した。
「実香決まってる?あたしハンバーグセットねっ」
…あたし、サラダだけでいいや。
ファミレスで喋るだけ喋って5時間。あたしたちはそのままclubに行く事にした。
だけど頼んだ料理がきてからはずっと尽きない音楽の話し。
その間女の子っぽい話しは一切なし。
色気ないな、おい。
そしてあたしは結局ハンバーグセットプラス苺パフェを追加オーダーしてしまった。
「てかさ、kyouzから話しかけてきそうだけどね」
ファミレスを出ると沙織が言った。
「……あたしの事忘れてるとか」
言って悲しくなった。
でもあの時恭介お酒結構飲んでたみたいだし、ありえる。
「それはないでしょ。大丈夫だって!」
沙織は笑いながら言った。
大丈夫…だといいんだけどね。
すっかりclubへの道のりに慣れたあたしはどんどん歩いて行った。
「てか、ヒカルとjamって不仲説があってさぁ」
沙織もあたしに合わせるように自然に早歩きになる。
「不仲説?だってヒカルくんと恭介は幼なじみなんでしょ?」
「うん。だから正確にはヒカルとスネークが。でも本人たちはなんにも言わないからよくわかんないんだけどね」
「……ふーん」
なんか複雑。
それじゃヒカルくんと一緒に歌ったりしたらjamと気まずいじゃない。
「だからkyouzとしては気まずいのよ。アンタがヒカルと仲良くしてるからスネークの手前、話しかけれなかったんじゃない?」
なるほど。
つまり今のあたしと同じ心境って事ね。