投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 144 やっぱすっきゃねん! 146 やっぱすっきゃねん!の最後へ

やっぱすっきゃねん!U…E-1

 青葉中学の優勝で幕を閉じた秋季大会の翌朝。

「い、急げ…」

 朝練を終えた佳代はダッシュで保健室に駆け込むと、ユニフォームを脱ぎ捨て、スポーツバッグからジャージを取り出し、慌てて着替えだす。

「…ふうっ」

 着替えを終え、脱ぎ散らかしたモノをバッグにしまうと、安堵したのか水筒のお茶で喉の渇きを潤す。

 その時、保健室の扉が勢いよく開いた。

「あら?」

 入って来たのは保健教師の葛城だ。彼女は佳代を見つけるなり、掛け時計に目を移した。

「澤田さん。遅れてるわよ」

「エッ! 本当ですか?」

「ええ、後5分で始まるから」

「ありがとうございます!」

 佳代は急いで両手と背中に荷物を抱えて保健室を飛び出すと、バタバタと階段を駆けて行った。

「…あらぁ〜…」

 葛城は呆気にとられた表情で、その音がする方向を見つめていた。


「ヤバい! ヤバい! ヤバい!」

 3階までを一気に駆け上がると、誰もいなくなった廊下を一目散に走り抜ける。教室に飛び込んだのは、ホームルームの始まる直前だった。

「…ま…間に合った……」

 絶え々の息を整え、したたる汗をタオルで拭いながら、抱える荷物を後に置こうと向かっていると、

「カヨ! おはよう」

 佳代の前席に座る尚美が声を掛けてきた。

「おはよう! ナオちゃん」

 佳代は、いつものハツラツとした笑顔で挨拶を返すと、荷物を置いてから席に着いた。

「カヨ。昨日はありがとう」

 尚美は振り向き、佳代にだけ聞こえるよう小声で言った。その顔は、思わずつられて微笑えんでしまいそうな笑顔を湛えている。

「で、どうだったの?」

 肝心な事を聞こうとした時、教室の扉が開いて担任が入って来た。

 尚美は席を立ちながら、

「昼休みに話すから…」

 それだけ言うと前を向いてしまった。佳代は彼女の雰囲気から、きっと良い知らせであると確信するのだった。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 144 やっぱすっきゃねん! 146 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前