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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!U…E-6

「お父さんは?」

「今日は町内会の会合よ。アンタが帰るちょっと前に出掛けたわ」

佳代はニヤリと笑う。

「喜んでたでしょう」

加奈も同じようにニヤリと笑い、

「ええ。〈行ってくるよ!〉って嬉しそうに。会合と言っても飲み会だからねぇ」

3人から同時に笑い声が挙がった。





「行ってきま〜す!」

 早朝、6時15分。佳代は玄関を飛び出した。

「気をつけてね」

玄関口で加奈が見送っている。

「分かってるぅ」

 いつものようにリュックを背負い、カバンとスポーツバックを自転車の前後に積み込むと、立ちこぎで勢いよく走り出した。
 一気に加速し、スピードが増して、身体に当たる風が強くなる。

(…ずいぶん冷えるなぁ…)

首元に触れる風は、随分と冷たく感じる。3年生の引退から、ひと月あまりが経っていた。

当然、引退と同時に佳代達2年生が最上級生となり、これからは部員のまとめ役となるはずなのだが、本人にはあまり自覚がない。 というのも、前監督の榊との約束で、未だ1年生に混じって練習をやらされており、そのうえ交替で参加する3年生が指導を行っている事が、余計にそう思わせていた。


(おっ、あれは…)

学校正門に続くなだらかな上り坂を、数人の男子生徒が歩いてるのが目に留まった。

「おっはよ〜!」

 佳代はこぐ足を早めて、彼らを一気に置き去って行く。

「おはようございま〜す!!」

彼女の存在に気づいた男子生徒達は、途端に声を張りあげ挨拶を返した。それは田畑や大神、和田などといった、佳代と練習を共にする1年生部員達だった。

 田畑は焦った口調で大神、和田に言った。

「おい、澤田さんが来たってことは……」

2人は田畑の言葉に頷く。

「やばい! 走るぞ!」

度々遅刻して来る佳代に抜かれたことに危機感を持った彼等は、慌てた様子で坂道を駆け出した。まさか珍しく、いつもより10分も早く来たとは思いもしないで。


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