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ハッピーエンドの向こう側
【少年/少女 恋愛小説】

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ハッピーエンドの向こう側-1

ある少年の話をしよう少年は今中学生だ。少年には好きな少女がいる。だが少年は少女へ、この気持ちを伝えていない。
少年の名前は吉田宏(よしだひろ)
少女の名前は川原幸(かわはらさち)
宏は数人の少年達と話していた。
「お前、好きな人だれだよ」
「お前が言えば言うよ」
宏もまた普通の中学2年生だ。このような会話は日常茶飯事だ。
「じゃあ俺からな…俺は夷隅亜美(いすみあみ)はい、じゃあお前」
宏はこの様な時いつも同じ人物だ。
「俺は川原幸!」
「出たよ!」
「お前1年生の時からそれな」
宏はこのような少年達の反応が不思議でたまらない。
宏はいつも思う、好きなのだからしょうがないじゃないか…幸は容姿が優れている訳ではない、ただの普通の少女だ。宏はその普通が気に入っていた。
「告白しねぇの」
「あっ…あほかそんな事できんわ」
宏は近くに居た少年の右腕を赤面しながら殴った。
宏は毎日、電話と睨み合っている。今日こそは告白する。今日こそは…そんな日がもう1年続いている。
「痛ってぇ」
「ひでぇな宏」
「幸はそんな人嫌いよ。うっふん」
犠牲者がまた一人増えた。
宏はドラマや小説などなんであんな簡単に告白できるのかといつも不思議に思っている。
「いや〜んやめて宏さん」
少年は宏に殴られているのにまだ女言葉を使っていた。宏は呆れて自分の席へ戻った。
「あ〜ん待ってぇ〜宏さぁ〜ん」
宏は今度は無視した。
宏と幸の席は隣同士だ。裏で何かと手を打ったその成果だ。授業が始まっても大半は幸の顔を見ている。見ていない時は寝ている時か先生に怒られて立たされている時だけだ。
「でっあるからして…おい!吉田」
「はいっ!」
「答えはなんだ」
「えっ〜あの〜」
その時、隣から天使の声がした。
「……4」
「えっ…4?」
「正解だ。」
「…はぁ」
宏は席に座り隣の天使にお礼を言った。
「ありがとう」
「んっ…いいよ別に」
宏と幸の会話はいつも、こんな感じで終わる。
時々宏は一人で妄想に浸る時がある。その妄想の中では宏と幸はカップルであり、二人でデートをしている。この妄想は普通は授業中、幸を眺めたまま寝てしまった時や幸と学校で一言・二言話した時に見ている。これを見ている時の宏の表情はとても幸せそうだが見終わった後の顔は絶望に似た表情になる。
「夢だったか…」
今日は自分のベットの上で妄想していた。宏の頭の中は四六時中、幸の事ばかりだ。そして毎日の日課、電話との睨み合いが始まる。
「宏!ご飯!」
宏は渋々電話から視線を外しカレーが並ぶリビングへ向かった。
「またカレーかよ」
宏の家は今日で連続カレー出場数10日だ。
「ありえねぇよ」
「まだまだ冷凍したのがあるわよ」
宏の母親は満面の笑みで答えた。
宏は母親に父親とどのようにして付き合い始めたのか聞いてみた。母親の答えはこうだった。
「お父さんが高校2年生の時、電話で告白してきたのよ。もう大恋愛だったわよ」
宏はその後に会社から帰ってきた。父親にも聞いてみた。
「…ん〜忘れたなぁ〜」
この発言が母親の怒りを買ったらしく、その後30分下のリビングでは母親の怒鳴り声が響いていた。
宏は次の日、またいつものように少年達と話していた。その会話の途中宏は少年達に自分の考えを伝えた。
「俺、今日家帰ったら幸に告白してみるわ」
少年達はとてもびっくりしたらしく一人は「アワワワワ」などと何かわからない言葉を発している。なぜ突然告白する気になったのか、それは単純だ。今日の朝見た占いで宏の生まれた月でこのような事を言っていた。
「今日好きな人に告白すれば100%成功!」
この占いで宏の乙女心は突き動かされた。


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