ハッピーエンドの向こう側-2
宏は家に帰り電話の前に座った。一回深い深呼吸をし受話器を手に取り幸の家の番号を押していく、宏の心臓は今にも破裂寸前だった。トゥルルルといつもの音が流れる。ガッチャ…告白スタート。
「もしもし」
「あの幸さんと同じクラスの吉田宏と言う者なんですが幸さんいますか。」
「はい今変わります」
「な〜に宏君」
「あっあのな、お前に言いたい事があるんだけど…」
「何?」
「あのお前の事が前から好きだったんだ。だから付き合ってくれない?」
「えっ…えーと今、答え無いとだめ?」
「いやっ明日でも…いいよ…」
「じゃあ明日の朝言うから…じゃあね」
「うん、じゃあね」
告白終了。宏の額と背中は汗でぐっしょりしていた。宏は明日の返事を楽しみに布団に入った。
次の日教室に入ると何か違和感を感じた。皆なぜか俺を見て笑っている。
「なんだよ皆」
一人の少年が黒板を指差した。そこには愛愛傘が書いてありその下には『宏・幸』と書いてあった。宏の話しを聞いた誰かが黒板に書いたみたいだ。宏は内心この扱いがうれしかった。
「なんだよ。お前らやめろよなぁ〜」
その時、幸が入ってきた。幸はこの黒板を見た瞬間、宏の方を見てなぜか手を上げ宏の左頬を思い切り叩いた。
「なによこれ!私、宏君なんかと付き合わないからね!」
幸はそう言うと自分の席へ歩いていった。宏は今にも泣きだしそうだった。宏は最後の力を振り絞って一言発した。
「なんで昨日の電話でふってくれなかったんだよ…」
「いいじゃない私の勝手じゃない」
宏は幸がこんな事を言うとは思っても見なかった。
宏は黒板の傘を消し自分の席に俯せた。宏の恋は今、脆く砕け散った。学校の帰りに小学校からの親友、飯島孝之と話した。
「気にすんなよ。俺が小学校の時の事件覚えてるだろ。」
「あぁあのバレンタインのな…」
宏はもう何も喋る気にならなかった。
宏は俯きながら家に向かった。
家に帰ったら宏は驚くだろう。幸から電話があり謝罪の言葉と告白の成功の知らせが来る。
今…宏はそんな事を知らず俯きながら家へ向かっていく。
FIN