Good Student?-1
最近ウザい奴がいる。
「せーんせッ」
ほら、また来た。
「尚先生、シカトっスか?ひどいなぁ、せっかく可愛い生徒が質問に来たのに」
「…何だよ」
「あっ、この問題なんですけどねー…」
昼休みにわざわざ職員室まで勉強を教えてもらいに来る、この生徒。
名前は宇佐美総太。俺のクラスの生徒だ。
端から見れば、勉強熱心な生徒だろう。実際、俺もその面は感心している。
だが、俺はこいつが気に入らない。
「ありがとうございました。やっぱ先生は教え方上手いっスよ。」
「そりゃどーも」
「幸先輩に聞いても分からなかったみたいで、あっ、幸先輩って3年生の先輩なんですけどね。先輩、真面目そうな顔して意外に抜けてるっていうか…」
「…ふーん」
うっせぇ。そんくらい俺は小さい頃から知ってるわ。
「あっ、今度、幸先輩も一緒に連れて来ますよ。先輩、今年で受験なのに1年の問題が分かんないのはヤバいですからね。尚先生の教え方は上手いから、きっと先輩も分かるようになりますよね?」
「…あぁ、なるんじゃねーの?」
1年の問題も分かんなくてすみませんね。俺、日曜の夜にそいつの勉強見てやってますけど。
宇佐美総太。
こいつはサチの後輩で、恐らく、サチに恋している。
クソっ、気に入らねぇ。
つまりは、
こいつは俺にとって、
かなり邪魔な存在ということだ。
こいつのサチに対する気持ちを知ったのはつい最近のことだ。
昼休み、何があったかは知らないが、あいつはサチにこう言っていた。
「俺は先輩のこと好きだもん。いつだって先輩の味方だからさっ」
サチはそれを聞いて安心したような表情をしていたが、その発言については特に突っ込んでいなかった。