Good Student?-5
「どうした?」
「先生、今初めて『総太』って言った」
「あぁ、そういやそうだな」
「何か先生と仲良くなれた感じ。先生、俺のこと嫌ってんのかなって思ってたから嬉しいや」
驚いた。
こいつは俺の気持ちに気付かないと思っていたのに。
思わず俯いてしまう。
「先生、これからもよろしくね。俺、先生大好きだからさっ」
どうやら俺はとんだ勘違いをしてたみたいだ。
これからこいつとは仲良くできそうな気がする。勿論、サチは渡さねぇけどな。
その時。
「失礼しまーす。ナオー?」
サチの声。
「幸先輩、どうしたんスか」
最初に反応したのは総太だった。
「あれっ、総太?どうして職員室に?帰ったはずじゃ…」
「尚先生の片付け手伝ってたんスよ」
「ふーん」
そう言ってサチは俺を一瞥する。俺はまた俯いた。
「ところで、幸先輩はどうしてここに?てか、『ナオ』って誰ですか?」
「えっ、…あー」
少し困った顔でこちらを見るサチ。
仕方なく俺は総太に言う。
「『ナオ』は俺のことだ。俺ら、幼なじみなんだよ」
「…へぇー」
総太の笑顔が崩れたように見えたのは気のせいか?
「…じゃあ俺、そろそろ帰りますね」
そう言って総太は職員室から出て行った。
その後、サチに文句を言われたのは言うまでもない。