Good Student?-4
「…終わった」
作業が終わったのは5時過ぎ。部活が終わるのは6時頃だから時間が余ってしまった。
俺は時間の使い方があまり上手くはないと思う。
だから、この余った時間の使い方が分からなくて。
このままボーっとしていても暇なので、とりあえず荷物の整理をすることにした。
「尚先生、何やってんスかー?」
突然の声に顔を上げれば、宇佐美総太。
「あぁ、暇だから片付けしてる。お前は?」
「俺らまだ仮入部だから、5時には帰れるんだ」
そういえばそうだった。
一応俺もサッカー部の副顧問だが、用事も特にはないため顔を出しにすら行かない。
「じゃあまた明日な。寄り道しないで帰れよ」
そう言って視線を総太から机に戻す。
大分散乱させてしまったので、予想以上に時間がかかりそうだ。6時までには終わらせたい。
すると、また上から声がした。
「ねぇ先生。俺も手伝うよ。何か先生急いでるみたいだし」
そう言って総太は俺の許可なしに手伝い始めた。
正直ありがたいが、私事を生徒に手伝わせるわけにはいかない。
「いや、いいって。お前は早く帰れ」
「いやいや、俺、いつも先生にお世話になってるし。こんな形でしか先生助けられないから」
そう言って俺に屈託のない笑顔を向ける。
俺もその笑顔につられて自然に笑みが零れた。
あぁ、サチがこいつのこと好きなの分かった気がする。
こいつは純粋で、優しい。
同じように純粋で優しいがために傷付いてきたサチにとっては、こいつは癒やしのようなものなんだろうな。
総太の手伝いあってか、その後の作業は順調に進み、書類と私物だらけだった俺の机や荷物は綺麗に片付いた。
「総太、ありがとな」
そう言うと総太は嬉しそうにこちらを見る。