フリースタイル2-1
「沙織みたいなドSなコにはー、スネークみたいなドMなヤツがぴったりだと思うんだよねぇ」
kyouzはあたしに会う度この言葉を言う。
そしてその後に続く言葉も決まっている。
「で、実際好きっしょ?」
呆れて何も言えないわ。
スネークとkyouzに出会って半年。
あたしはその間スネークにドキッとした事もキュンとした事も一度もないんだから。
スネークなんて弟みたいなもんよ。…年上だけど。
「でもスネークは沙織の事好きらしいよ〜?」
ありえない!!
よくもまぁこんな根拠のない事が言えるわ。
大体スネークの好きなタイプは女の子らしいぶりっこちゃんらしいし。
あたしとは正反対。そしてあたしはそういう女が大嫌いだ。
あたしもあたしでスネークみたいなプライド低い男じゃなく、自分に自信あって頼りになる男がいいんだから。
とにかくスネークは絶対ありえない!!!
「昨日なんにも言わず先帰っちゃってごめんね」
大学着いて教室入るなり実香が駆け寄ってきた。
「えっ、ううん。それより昨日付き合ってくれてありがとね」
あたしがそう言いながら席に座ると、実香も隣に座った。
……昨日、clubに実香を連れてったあと実香はkyouzとどっかに行ってしまった。
まぁ、女好きのkyouzの事だから大体察しはつくけど。
あえてそこは突っ込むのをやめとくわ。
「初clubはどうでした〜?」
あたしは実香の顔を覗き込むように言った。
「……うーん。よくわかんない」
実香は苦笑い気味に言う。
「まぁ、最初はそんなもんでしょ」
あたしはサラッと言うと、カバンから一枚の紙を取り出して実香に渡した。