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4つ月のひかり
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4つ月のひかり-1

生きたい

生きたいと苦しみの中で心が叫ぶ時があるように

死にたい

死にたいとふと思ったり、もがいたりすることだってある

生きたいと死にたいの狭間でどっちつかずな人生を送っている

そんな人間が最近多くなってきたんじゃないかと思う

生きたいと死にたいは紙一重。一枚裏返せばどうにでも変わることができるのかもしれない。

【4つ月のひかり】

それは悲しい夜だった

昨日まで降っていた雪が昼の光に溶けて水たまりがあちこちにできていた

今日という日は春が始まったばかりの夜だった


静まり返った小さな丘の上

一人の老人が泣いていた


月は笑っていた


老人は溶けた雪でできた水たまりをしおれた両手ですくって、サラサラと水たまりの元へ落とした。


「私の夢もまた、こぼれ落ちて消えていった。お月さんよ、アンタ、そんなに可笑しいのかい。」


老人は月に向かって嘆いた。

月は雲に隠れて苦いような表情を示した。


「そうか。月なんかに私の悲しみは解らんだろうな。アレは私の全てだったのだ。もう生きる意味すら無くしてしまったよ。」


月は再び老人の前に顔を出し、冷たい風を老人に向かって吹いた。
老人はそれに逆らうように着ていたコートを脱ぎ捨てた。


「死ねばいいってのかい。なら殺してくれよ。雪でも降らせてくれよ。」


そう言いながらも老人は身を丸めながら震えていた。
月はさらに強く冷たい風を老人に吹き付けた。


「私は…私は生きていたって迷惑しかかけない存在だった。みんな私を陰では貶していたんだ。夢くらいしか支えがなかったんだ。私は一人ぼっちの中で奪われないように夢を守っていきたかった。」


老人は涙をボロボロ流しながら叫んだ。

「失ってしまったんだ。だから…死んだ方がマシなんだ。死にたいんだ…。」


風は容赦なく吹き続けた。


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