冷たい情愛Die Sekunde-2-3
すぐに電話をかけなおす。
「もしもし?私だけど…」
『今どこ…』
「ああ、都内にいるの…大学の同期たちと飲んでたから」
『今人形町なんだ…会えるかな』
彼も酔っているのか…
東京駅で待ち合わせすることにした。
駅の壁に寄りかかり、大きく前傾姿勢を取る彼を見つけた。
「どうしたの!?」
私は小走りし、彼に声をかけた。
「会いたかったんだ…」
少し酔っているらしく、私の肩に額を置く。
甘い香り…薄っすらとではあるが、彼から漂う初めての香りに私は気付いた。
すぐにタクシーに乗り込む。
「家に帰る?」
私は、どこへ向かったらいいのか分からず彼に尋ねる。
「いや…ホテルにいく…」
その言葉に、タクシーの運転手は…あえて聞こえない振りをしている様子。
行き着いた先は、そういう行為を目的にするホテルだった。
私は、彼に何があったのか…不安で仕方なかった。
ホテルの部屋に入る。
中には、大きなベッド。
ベッドの傍らには、アイマスクと透明の液体が入ったボトル。
彼はベッドに座り、疲れたようにぐったりしている。
「ねえ…大丈夫?」
私は彼の顔を覗き込んだ。
ゾクッとした…。
昔の、冷静な目とは違う…感情を露にした強い目。