冷たい情愛Die Sekunde-2-2
出張ばかりでろくに家にいることのなかった父。
そんな父と家庭を持った母は、ずっと専業主婦だった。
(経済的には、母は父に依存していた…)
私の寝起きの頭は、そんなことを考えている。
あれ以来、遠藤くんの言葉が私の頭を離れることはない。
依存する人間と、依存される人間。
そんな関係は、決して幸せにはなれない。
彼の言葉を要約すれば、そう言えるだろう。
しかし、母は姑の面倒を最後まで看た。
父からすれば、妻に自分の親と子どもの面倒を全て任せていたことになる。
ということは、父と母の関係はそれに当たらないということか。
しかし、彼が言っていたのは…そういう具体的なことではない気がした。
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大学時代の研究室で世話になった教授の退官が決まり、その会が夕方から催されることになっていた。
私は大学の同期たちと久しぶりに言葉を交わす。
大学の友人たちは、結婚している者と未婚の者が半々くらい。
久しぶりの再会に私は嬉しくなった。
お酒がすすむ…
しかし、今夜は彼の家に泊まることが出来ない。
ここから実家に帰るためには、それなりの時間には電車に乗らなければ。
「私そろそろ…」
私は電車に乗るため、駅に向かった。
飲んでる間、携帯を一度も見なかったので、歩きながら私は着信とメールを確認した。
(遠藤くんからだ…)
母親と過ごしているはずの彼から、着信があったようだ。