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ねこ♪ネコ♪小猫♪
【学園物 官能小説】

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ねこ♪ネコ♪小猫♪-6

「『女である事を拒否してる』かっ…。」

私は自分の身体が嫌いだ。女性特有の丸みをおびた身体…。
小さい頃から兄貴の後ろを着いて遊んでいたせいか、小学生の時の友達は男の子ばかりだった。服装も半ズボンにTシャツでいつも男の子に間違われた。
だけど中学に上がると女子の制服はスカートだ。これが凄く嫌だった。男子はズボンなのに…。いろいろ抵抗してみたけど女子が男子の制服を着る事が出来るはずもなく、イライラは募るばかりだった。
それに輪をかけて私をいらつかせたのは、今まで一緒に遊んでいた友達が、急によそよそしくなった事だ。訳がわからず聞く私に、
「だってオマエ『女』じゃん。」
と言う答えが返ってきた。
『性別が違うだけで、なんで友達になれないんだ!』
私は怒った。物凄く怒った。
でも怒りの矛先を誰にぶつけていいのかわからず、気がつけば言葉使いは荒くなり、いつもふて腐れた様な顔をしていた。
そんな私をクラスメイトは遠巻きに見て、誰も話し掛ける事は無くなった。
そんな時だった、志穂が話しかけてきたのは…。

「何か面白いものあるの?」
昼休み、梅雨も明けて緑が青々としている校庭の木々を眺めて『綺麗だな』と微笑んでいると、誰かが声をかけて来た。
声がした方へ視線を移すと内巻きのショートボブにクリクリ二重瞼の大きい瞳が目に飛び込んできた。
「楠さんって、いつも一人で外眺めているよね?」
彼女はニコッと微笑むと
「私、同じクラスの若山 志穂。よろしくね。」
と自己紹介してきた。
いくらクラスの誰とも話していないからって、さすがに3ヶ月以上同じ教室にいれば名前と顔は覚える。
『面白い奴』
思わずブッ!と吹いてしまった。すかさず志穂は嬉しそうに微笑んで、
「へぇ。楠さんも笑うんだね。あっ。私達、友達になろうよ。私の事は『志穂』って呼んでね。私も楠さんの事『峰子』って読んでいい?」
私は『峰子』と呼ばれる事に反応して、
「ヤダ!」
と即答した。すると志穂は悲しそうな顔をして、
「友達になるの嫌?」
っと小さい声で聞いてきた。私は慌てて答えていた。
「あっ。違う!名前の方。オレ、自分の名前、嫌いだから…。」


『峰子』


「子」なんて女の名前にしか付かない。いつも自分の名前を、見たり、聞いたり、書いたりする度に自分が『女』なんだって思い知らされる。こんな名前を付けた両親にさえ怨みがこもる。
志穂は「ふぅ〜ん。」と言ってから「峰子、峰子、ミネコ、ミネコ…」と私の名前を繰り返し、ショートボブの髪の毛を指先でクルクルさせて考え込んでいた。
すると閃いた!っという顔をして、私に向かって、
「じゃあ。『ネコ』っていうのは?名前の一部だし、楠さんってネコっぽいからピッタリだよね。」
とニッコリ微笑んだ。

この時、私は思わず涙が出そうになった。ずっと一人で、いつもムスッとしている私に声をかけて『ネコ』というあだ名まで付けてくれた志穂に心から感謝した。
なんだか、ほんのちょっとだけど、自分の名前が好きになれそうな気がして。

『ありがとう。』


高校は志穂のお願いで同じ女子高に通った。確かにスカートは嫌だったけど、「ユニフォームって思えばいいじゃん。それに反動で思いっきり私服を楽しめそうじゃない?」と志穂が言ったので『それもそうだな。』と思ってしまった。
大学に入った今じゃ、毎日の服選びが楽しくてしかたない。

女子高は私の想像よりも楽しかった。私を拒絶する男子はいないし、女子だけという世界はとても気楽だった。そして少しずつだけど友達もできた。


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