フリースタイル1-1
そもそもあたしは洋楽なんて聞かなかったし、hiphopなんて全く詳しくなかった。
それでも唯一KREVAだけは大好きだった。
最もKREVA以外のhiphopをあまり聞きもしなかったんだけど。
だけどね、そんな音楽の知識が乏しい、ましてやhiphopを聞かないあたしがあなたの音楽を好きになったのはやっぱりあなたの事があの時から好きだったからかなぁ?
それとも不覚にもあなたのつくる歌詞に共感してしまったから?
ねぇ、あたしはあの時あなたに出会えてホントに良かったよ…
あなたもそう想ってるといいんだけど。
初めてのclubは最悪だった。
都内の小さなハコで、いかれたDJに合わせて周りのギャルは腰をふっている。
そんなノリについていけず、ぼーっと突っ立ってたら強引に隅へ連れてかれキスされた。
見ると20代前半の明らか遊んでそうな男。
無理やりされたキスはめちゃくちゃ酒くさかった。
あたしはその空間が気持ち悪くて逃げ出してしまった。
「ごめんねー!付き合わせてー」
外に出ると沙織が追いかけてきた。
「clubってあんな奴らしかいないの?」
「いやー、ここはちょっと治安が悪いとゆーかなんとゆーか…」
「ふーん」
納得したようでしてないあたしはこのclubへ誘った沙織を少し軽蔑した。