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星降る夜の神話
【少年/少女 恋愛小説】

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星降る夜の神話 其の壱-2

突然の声に驚き、慌てて後ろを見た。
「壱岐…?」
自転車に乗っている少年は見知った顔。いや、見知り過ぎている顔。何故なら、彼は私の隣の席なのだから。

壱岐 鷹人(イキタカト)
 今年初めて同じクラスになった少年。細いくせに筋肉があって、何故か女子にモテている。私のタイプでは無いから余り気にしていなかったのだが。今はそんなこと関係無い。ガシッと壱岐の袖を掴み、引っ張る。

「乗せて!!」
「……はぁっ!?」

    ◇

キーンコーン…

 無情にもチャイムが鳴り響いた。

「ちょっとぉ!もー少し速く行けない訳?」
「無理言うな。この脅迫魔が」
「脅迫してない!」
「無理矢理乗ったかと思えば、『行かなきゃ呪う』って吐(ぬ)かしやがって。この何処が脅迫ではないと?」
「………」

    ◇

「起立、礼」
「お願いしま…」

ガラッ

バンッ

「遅れました!!」
 一限目が始まる前ぎりぎりに着いた。が、挨拶を中断された処以か、何人かの視線が痛い。
「おう、石野と壱岐は一緒に来たのか?」
 一限目は国語だった
のか。国語の教師、坂田がにやにやと私と壱岐を見た。

ー余計な事を。

 お陰で、壱岐の信者(?)の痛すぎる程の視線が突き刺さる。
「取り合えず席に着け」
 促され、自分の席まで歩いていった。視線の痛さは変わらぬまま。

「なあ、なあ。」
 授業中。隣の席の諸悪の根源が小声で話しかけてきた。
「………」
 無視。
「オイ、シカトするなコラ。」
無視を続けようとしたが、あまり意味がない気がして小声で返す。
「…なに?」
「何で遅刻しそうになってたわけ?アンタいつも早いのに」
「関係無い。」
 そんなの言えるか。回想をしてしまい、気付いたら時間が過ぎてしまっていました。なんて、恥ずかしくて言える筈がない。
「いーじゃん、ケチ」
 よし、無視を続けよう。と私は思った。

    ◇

「ちょと良い?石野さん」

ー来たか。

 ヤツと一緒に来たのだから、覚悟はできている。
 壱岐の取り巻きのリーダー格である真島が睨みながら私の前に立つ。
「銀杏…」
不安そうに、友達の由香が私と真島を見た。
「大丈夫。…ちょっと待ってて」
笑顔で由香を見、真島達の後を付いていく。
「銀杏…」
益々不安気に呟く由香を置いて。


ガンッ

「……った」
体育館裏に行ったときは、『何てお決まりの場所なんだ』と、逆に感心したのだが。突然押され、抵抗する間もなく壁にぶつかった。
「アンタ壱岐君と馴れ馴れしくしないでくれる?すっごい目障り」
そうそう。と周りの奴達が真島の言葉に同意する。

ー…つーか、私は今日初めてまともに話したって感じなのだが。気付けよ。

「あのさあ、」
溜め息をつきながら体を起こし、真島達を見据える。


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