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燃えるよりも萌えよ
【コメディ 恋愛小説】

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燃えるよりも萌えよ-1

私は恋をしている。



キミにこの想いを伝えることはできないけど、



いつも、キミの幸せを願うよ。





『だから、そういう気持ちが重いんだって』

彼は振り向かずに吐き捨てるように言う。

「……」

『…でも、俺、そういうお前の気持ち、嫌いじゃないから』

振り向いて伏し目がちにそう言った彼の頬は赤く染まっている。



「胸キュンーッ!!」

私は彼─テレビの向こうにいるアニメキャラ─に向かって叫ぶ。



このアニメ『ツンデレなんかしたくない』(略して『ツンない』)は私のお気に入りで、中でも主人公が恋する『山崎隼人』に夢中だ。
原作はもちろん、『ツンない』関連のグッズ、ガチャガチャ等全てを集め、毎日DVDで『ツンない』を見て隼人にときめいている私を、世間一般では『オタク』というらしい。



『じゃあ、まだ好きでもいいってこと…?』

『そんくらい自分で考えろよ。恥ずかしいだろ』

「隼人ォーッ!!!萌えーッ!!!」



そして、今日も私は二次元に恋をする。



私は三次元の男が嫌いだ。
平気で人の心を傷つける。簡単に裏切る。そして安い愛をどんな女にも送る。

世の中そんな男だけじゃないことは分かってる。
でも、今の私には全ての男がそんな風にしか見えないのだ。



「はーあ、今週の隼人もカッコ良かったなぁ」

番組が終わり、充実した気持ちのままベッドに転がる。今なら隼人の夢でも見れそうだ。


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