Secret Word-4
──コンッ
窓に小石を投げる。窓に当たった音は夜の静けさの中に響いた。
ガラッ
「…ナオ?どうしたのさ?」
部屋の電気が点き、窓を開けて少女がこちらを覗く。俺は彼女に手を振る。
「ちょっと中入れてくんね?」
「いいけど…」
許可が出たので俺は窓から部屋の中に入る。彼女の部屋は1階なので簡単に入れる。
「…で、どうしたのよ、急に」
サチはやや眠そうな声で尋ねる。
「んー、急にお前に会いたくなった」
「はぁ?さっき会ったばっかじゃん」
俺の正直な気持ちは簡単に打ち返された。
それよりも、こんなに正直に言える自分に驚いた。俺も酔ってるのかもしれない。
「サチー、俺ここで寝てもいいー?」
「えっ、明日学校だよ?」
「いいー、ここからそのまま行けばいいしー」
「…ナオ、酒飲んできたでしょ」
「おー、よく分かったなー」
「……」
ヤバい、段々自制が効かなくなってきた。もう何を言っているか自分でも分からない。
もう駄目だ、眠い…。
「…オ、ナオ、起きてよ」
聞き覚えのある声。
あぁ、そうだ、昨日サチの部屋に来て…
そこまで思い出して俺は飛び起きる。サチはすでに制服を着ていた。
「サチ…、今何時…?」
「7:30だけど?あたしもう行くから、家の鍵閉めといて。朝ご飯はお母さんに言って作ってもらっといたから勝手に食べて」
そう言うなりサチは部屋から出て行った。
てか、朝食作ってもらったのはありがたいけど、食う暇ねぇよ。
ひとまず着替えと荷物を取りに自宅へ帰ろう。
そう思い、さっきまで俺がくるまっていた上着を着ようとすると、ポケットの携帯が光っている。