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『討論小説〜日本の貧困問題について〜』
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『討論小説〜日本の貧困問題について〜』-1

『みなさんこんにちは!小説討論会へようこそおいでくださいました。私は司会進行のXです。今日の討論のテーマは『日本の貧困問題について』ですよ〜。さあ、早速始めて参りましょう…Aさんどう思われますか?』

「ワーキングプアとか色々言われてますけど…私はそういうのはただの甘えだと思いますよ。世界基準と比べたら日本の貧困なんてずいぶんと豊かなものでしょう。貧困は本人の責任によるものです。義務教育時代から勉強をさぼってレベルの低い学歴しか持てず、資格を取るなどの努力もしなかったために、替わりがすぐ見つかるような仕事しかできなくなってしまう…その結果貧困になっていくわけだから、そんな人たちのために私達の税金を生活保護として使うなんてとんでもない!許せないと思います。遊び回ってる頭の悪そうな大学生とか見ると特にそう思います」

「ちょっと待って下さい。それはあまりにもひどいでしょう。僕はそうは思いません。一生懸命働いていても貧困になってしまう人はいます!」

「Bさんその意見の根拠はなんですか?」

「僕は今34才ですが、日雇いの仕事をしてなんとか暮らしています。でもこの今の状況は僕のせいのみで生まれたわけではないと思うんです。僕は10才の時に両親をなくしてしまい、経済的に頼れる親族もなかったため15才の時から施設をでて働き始めました。就職の第一条件は仕事内容や給料ではありません。寮・食事つきということでした…昇給も保障もない。でもそういう仕事を選ぶしかない状況だったんです。これも自己責任なんですか?」

「確かに自己責任論は『選択の自由が本人にあった』ということを前提にした考え方ですからね。Bさんのような場合にはあてはまらないように思います。先ほどは言い過ぎました」

「Cさんはどう思われますか?」

「そうですね。貧困を自己責任という言葉だけで片付けてしまうのはやはりよくないと思います」

『具体的に貧困にならないために取れる対策というものはなにかあるでしょうか?』

「私はやはり義務教育時代の過ごし方だと思いますね。将来についてのビジョンを子供のころから明確に持つ必要があります。のほほんと生活していてはあっという間に時が無駄に過ぎてしまいますから」

「しかし子供に具体的な将来設計をしろと言っても無理があるでしょう。僕のような環境の子供だって少なからずいるわけだし…目の前のことを考えるしかない状況というのをわかっていないから、Aさんはそんなことを言えるんですよ!」

『Bさん落ち着いて下さい』

「僕は義務教育時代が大切だという意見には賛成ですね。中学校や小学校で習ったことって意外と覚えてるじゃないですか。全ての人が平等に教育を受けることができる九年間はとても貴重です」

『Dさんは義務教育時代に貧困を防ぐ対策ができるとお考えになっているわけですか?』

「えぇ。どのくらいの効果があるかはわからないですが、僕は義務教育時代に法律の授業を取り入れる必要があると常々思っているんです」

『というと?』

「法律というものは日本国民である以上守る義務があるわけですが、その内容を知っている人は実に少ないでしょう」

「確かに。私は今大学1年生ですが、民事裁判と刑事裁判の違いもよくわかっていませんでした」

「僕それわからないんですが…Cさん説明してもらってもいいですか?」


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