『討論小説〜日本の貧困問題について〜』-2
「めちゃめちゃ平たく言いますね。刑事裁判というのはそうですね…検察官のいる裁判で、事件によって罪がかせられる可能性があります。殺人罪とか障害罪とか。キ〇タクのH〇ROってドラマは刑事裁判ですよ。民事裁判は主に損害賠償とか離婚訴訟とかを扱い、罪をかす裁判ではありません。例えば行列のできる法律〇談所って番組の『訴えてやる!』ってのは民事裁判です」
「そうなんですか…僕は何も知りませんでした…」
「いえ、恥ずかしがることはないですよBさん。法律は自分から勉強しようとしない限りほとんど知る機会がないんですから」
「私も法律については全く無知ですね…」
「ですから法律の授業は必要なんです。公民の時間に日本国憲法についてはちょっと触れると思いますが、民法には全く触れないでしょう。実際は民法が一番使われているのに」
「私は『ゆとり教育』を受けた空白の世代ですが、総合の時間とかをやるよりも法律について教えてもらったほうがよっぽどためになったと思いますよ」
『しかし法律を学ぶことと貧困を防ぐことにはどのような関係があるんですか、Dさん?』
「貧困を防ぐというか、さらにどうしようもない状況に追い込まれることを防ぐというか…。例えば貧困層にいる人の中にはサラ金からの借金で首が回らなくなっている人もいるそうなんです」
「サラ金からお金借りるなんて…それは借りた人が悪いですよ。何をやってるんだか」
「またAさんは…蓄えが底をついてしまい、生きて行くために仕方なく借金するってこともあるんですよ!」
『Bさん押さえて…』
「ゴホン…借金にも時効があるってみなさんご存じですか?」
「時効って殺人とかによくあるやつですか?15年くらい逃げ通せば捕まらないっていう…」
「最近25年に変わりましたよね」
『Aさんよくご存じですね』
「まぁその時効ですよ(正しくは消滅時効)。民法の時効の章を見ればわかりますが、借金の時効は五年です。五年間払わなければもう借金はなくなるんです(169条)」
「えっ!?そうなんですか?」
「時効は他にもありますよ。一年や二年など短いものも沢山あります」
「そんなこと誰も教えてくれないですよね…」
「時効の制度を知らずに、10年前の借金を払ってしまったりしてさらに自分を追い込んでいく人も貧困層にはいるそうなんです。取り立て屋はプロですからね。そんな制度があるなんて微塵も感じさせないんですよ」
「まさに『知は力なり』ですね」
「生活保護の受け方などもそうですよね。本当に困っている人が受けられず、要領のいい人が不正を働く…」
「僕も一度申請をしに行ったこてがあるんですが、係の人に軽くあしらわれてしまって…何にも知識がないってことは本当に辛いです」