陽だまりの詩 3-3
「それがさ、今ちょうど難しい時期みたいで。すげー冷たいんだ」
「そうなんですか…私はそういう気持ちになったことないです」
「いい子だなー奏ちゃんは」
「えへへ、お世辞はいいですよ」
いや、お世辞抜きで。
こんな純粋で可愛げのある子が妹なら…っと、そろそろ自粛するか。
美沙も数年前は可愛げがあって、お兄ちゃん、お兄ちゃんって言ってたな…
今じゃ考えられん。バカ兄貴、バカ兄貴って…
「でも、会ってみたいです」
「え?」
これはまさかの展開だ。
「会っても楽しくないぜ」
「そうなんですか?」
「そうそう、口は悪いし、わがままだし」
「でも、私がいつも天道さんに聞いている感じだと、とてもいい妹さんですよ?」
「え…」
「兄妹で信頼しあってるなあって、ちょっといつも羨ましいんですよ」
ニコニコと笑う奏ちゃん。
本当にそうなのだろうか。
他人から見れば、不思議な兄妹だと思われている。
なんとなく、いつもそう思っていた。
奏ちゃんは本当にいろいろと気付かせてくれる。
そして本当に俺の心の支えになってくれている。
彼女にはいくら感謝しても感謝しきれないんだ。
「それに…」
「それに?」
「私、あんまり友達いないから…」
えへへ、といつもの笑顔。
だが、明らかに彼女の顔からは影が差していた。
「……」
ドクンと心臓が高鳴った。