冷たい情愛Die Sekunde-1 -9
暫くして、目を開けると…
そこには、紙袋に整頓された、分厚い何かがあった。
クローゼットの一番奥に、ひっそりと置いてある、それ。
そっと触れてみる。
部屋の明かりがあまり届かず、暗い中なのでよく見えないが…アルバムのようだ。
クローゼットから体を引き一度体勢を整えた後、私はそれを、手にとった。
かなりな重さ。
何冊かアルバムが入っている。
一番大きいものを紙袋から取り出す。
表紙には、「芳 小学入学〜 」と表題が書いてある。
彼の幼少の頃。
見てみたい…
私は表紙に手をかけた。
ブルブルブル…
その瞬間、私の携帯が鳴り出した。
誰に見られているわけでもないのに、私はびくっとしてしまった。
何故か…悪いことをしているような気持ち。
携帯を見ると、笠原智子の文字。
「はいはい」
『あ〜、ひろちゃん?今、平気?』
「あ、うん…大丈夫だよ」
『メール、こないだ見たよ〜』
遠藤くんとの事を、彼女にどう話そうかとずっと悩んでいたが…
直接電話すると長くなりそうだったので、先日PCにメールをしておいたのだ。
『遠藤くんと付き合ってるって、どういうことよっ?え?』
訳が分からないといった風に話す友。