冷たい情愛Die Sekunde-1 -3
毎週末、そう願い…私は彼の隣で眠りにつくのだ。
そして、いつもの朝を迎える。
目を覚ませば、そこには安らかに眠る彼がいる。
寝癖の付いた、くしゃくしゃの髪と…穏やかな寝顔。
繰り返される週末の二人の時間。
安らかな時間。
私は「今」本当に幸せなのだと思った。
幸せの先に、不安が待っているとはこの時は分からなかった。
人間とは、幸せに「慣れ」てしまうものなのだろうか。
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平日、いつも帰りが遅くなってしまう。
通勤時間が長いので仕方がないが、さすがにぐったりだ。
いつもなら先に寝ている母が、今日は珍しく起きていた。
長電話をしてしまい、寝るタイミングを逃したらしい。
母が突然言った。
「ねえ…、お付き合いしている人がいるの?」
彼と付き合うまで、土日は殆ど家で過ごしていた私。
それが、今では週末になるといつも外泊。
母も、さすがに黙っていられなかったらしく、この機会に聞いてみようと思ったのだろう。
「うん…いる」
私は、ポットの湯を急須に注ぎながら曖昧に答えた。
「どんな人なの?」
「高校の後輩なんだ…仕事で偶然再会したの」
「じゃあ、このあたりの人なの?」
「違うよ、地方から高校に入ったって言ってたから」
母の質問が加速しそうだったので、私は湯のみを持ってそのまま自分の部屋に逃げ込んだ。
その時ふと思った。
付き合いだして、それなりの時が経ったが…