冷たい情愛Die Sekunde-1 -10
「だから…メールに書いた通りなの」
『って言っても、びっくりしたよ〜。偶然だね、ホント』
「私も…でも、ホント最初は知らなかったんだよ」
『そりゃそうだよね、ひろちゃん、あの頃は年下なんて…ね』
躊躇するような言い方をする友。
『私…知ってたんだ』
私も、彼女が何を言おうとしているか薄々分かっていたが…あえて自分から明言するのを避けた。
『先生のこと…』
秘密だと思っていたのは私だけだったのか。
遠藤くんだけではなくて、智子も知っていたのだ…
『ひろちゃんが黙ってたから…辛かったんだね…』
友は、長い間…黙っていた私を見守り心配していてくれてた。
それを私は初めて知った。
彼女は私の性格をよく知っている。
10代…友達の恋愛に首を突っ込みたくなる頃だ。
それなのに、智子は黙って見守っていてくれた。
私には、こんなところにも「愛情」で支えてくれる人間がいたのだ。
『遠藤くん…いい子だよ。すごく真面目だし…って今は分からないけどね〜』
少し笑って話す友。
智子は嬉しそうに、その当時の彼の事を話してくれた。
陸上部の中でも、長距離と同じ種目だった智子と彼は仲がいい方だったらしい。
女子にはそっけなく、泣かせてしまったこともあるらしい。
そのあたりは、今と変わらないなと私は笑ってしまった。
私の知らない、彼の過去…それを、親友が知っているのは不思議な感覚だ。