投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

腐肉
【SM 官能小説】

腐肉の最初へ 腐肉 0 腐肉 2 腐肉の最後へ

腐肉(その1)-1

すっと下半身が一瞬痺れたような疼きを感じたとき、僕は重い眠りから目を覚ました。
  夢精だった。
  とろりとした白い樹液がシーツに付着していた。
 
  カーテンを閉めきった古い木造のアパートの部屋は、どこか澱んだ湿った空気に覆われ、蜘蛛の巣が張った薄汚れた天井からぶら下がった裸電球の傘がわずかに揺れていた。
  あれはあの男だったのか、巨大な醜い豚だったのか…。
  夢の中で僕は冷たい石の床に四つん這いになり、背後から臀部に重くのしかかるねっとりと 絡みつく動物のような皮膚の生温かさを感じていた。そして僕の尻壺に性器を埋めた動物は、激しく体を揺すりながら僕の背後から前後に蠕動を繰り返していた…。
  そして僕の股間に廻した動物の毛に覆われた手がしっかりと僕の陰根を握り、べとついた粘 着質の掌で強く揉みしごいていたようだった。
  その動物の顔を僕は見ることができなかったが、確かに獣のような咆哮めいた呻き声をあげていた。僕の尻蕾の奥深く挿入されたその肉根は、僕の肛門の肉襞を抉り、苦痛とも快感とも言える淫猥な疼きを感じさせていた。
  僕は朦朧とした夢の中で、尻芽の肉襞を収縮させその獣の肉棒を食い締めていた。そして股間の肉根の表皮を激しくしごかれるたびに不思議な被虐の恍惚感に深く浸っていた。
  やがてその豚のような獣の爪の先が僕の怒張した亀頭に触れ、敏感な尿口の細い溝に薔薇の棘で刺すような痛みを与えた。そして獣の生温かい樹液を僕は直腸の中に感じたととき、背筋の悪寒に似た一瞬の震えとともに僕は目を覚ましたのだった。
  
  港の近くの下町の廃屋に近い倉庫街に埋もれたように位置する僕のアパートは、昼間というのにいつもひっそりと静まりかえっていて、僕は不思議と住人の顔を見たことがなかった。
  近くを流れるどぶ川の腐った汚物のような異臭があいかわらず漂っていた。黄土色の剥げかけた泥壁の部屋に陽が差すことはなく、部屋全体が黴臭く湿っていた。
  腰の恥骨の中に鉛を含んだようなだるい体を引きずるように僕は起きあがると、裸のままで台所の冷たい水を飲んだ。そして部屋の壁に立てかけてある等身大の鏡の前に体を映した。
  華奢な姿態、薄く白い雪肌の首筋から薄い胸、女のような悩ましくくびれた腰、すらりと伸びた脚の線…。そして肩まで伸ばした艶やかな黒髪、童顔なのに目鼻立ちはきっくりとし薄桃色の潤んだ唇が自分でも愛くるしいと思うほどだった。小さい頃から僕はよく女の子に間違えられたものだ。白肌のむっちりとした太股の股間には、濡れた薄い陰毛が絡み、すでにだらりと萎縮し、てらてらと光る肉棒が腐ったチーズのような臭いを放ち、濡れた魚の赤身のような肉紅色の皮膚を露呈させていた。

 ビルの谷間が乾いた埃に包まれたように白く霞んでいた。
  夕闇の微弱な琥珀色の陽ざしの中で、僕はどこか咽喉が締めつけられるような息苦しさを感じた。地下鉄の駅からあの男の指定したマンションまで歩いて十分程度だった。表通りから裏の細い筋に入ると、そこは古い雑居ビルらしいコンクリートの壁が剥げかけた老朽化した建物ばかりだった。そして表通りの喧騒が嘘のように周辺は静まりかえっていた。
  あの男が指定した建物は汚れたタイル張りの細いマンションだった。近々解体される予定なのか、通りに面したベランダ越しのいくつかの窓にはすでに板が貼られ、人が住んでいるような気配はなかったが、階段室からわずかに灯りが漏れていた。あの男は密会のために人目を避けたこういうマンションを利用しているのだろうか…。僕はあの男のことだけを考えていた。
 一週間前、あの男は僕の携帯にメールをしてきた。
  …Y駅の近くのMマンション八○五号室…近くにN商事ビルが目印。午後7時…。
  男のメールは事務的に要件だけを伝えるものだった。あれから確か六年近くになる。あの男もすでに六十歳を越えているはずだった。


腐肉の最初へ 腐肉 0 腐肉 2 腐肉の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前