秋か春か夏か冬〜17話『みんなで行こう温泉旅行・後編』〜-13
肝心の亜季は…
「そ、奏樹さんってば…!恭介様は確かに素敵な殿方ですが……す、好きだなんて……」
ボンッっと顔を赤らめてしまう亜季。
それに反して奏樹は真っ青になる。
(こんな亜季は見たことない……か、可愛い♪じゃなくて!!いや、可愛いのは本当だけど、まさか恭介先輩だなんて…勝ち目なんか…おお落ち着け!まだ負けと決まったわけじゃ…)
ぶつぶつと呟いている奏樹。そして……
「じゃぁわたくしは自分の席に戻ります。恭介様を呼んできますね♪」
奏樹の思いに気付かず、嬉しそうに戻っていく亜季だった。
その姿を見た奏樹は…
「勝ち目……あるのかなぁ?」
放心状態だった。そして恭介が戻ってくる。
「よぉ♪どうだった?昨日アドバイス出来なかったお詫びにさ、3人で考えたんだ。奏樹と亜季を2人っきりにしてあげようって。でもいまさらだけど、奏樹は上がり性だから心配だったんだよな…迷惑だったか?」
優しくて完璧な先輩…。でも…
「恭介先輩…おれ…」
「ん?なんだ?」
何も事情を知らない罪深き男、恭介。
「いや…なんでもないっす。まぁ進歩はあったんで3人のおかげですね♪」
「そうか。役に立てて良かったよ」
「あと俺…まけませんから…」
「は?」
1人、ライバル心を燃やす奏樹であった。
距離の近づく者、気持ちをを確認する者、自分の気持ちに気づかない者、どんどんキャラが崩壊していく者…さまざまな想いを乗せた列車は帰路を快調に走っていた。
温泉旅行編 ・完