reality ability‐第7話‐無意識の中の“真実”‥‥更なる“覚醒(チカラ)”‐-4
「‥織音‥いや、零歌。立て。」
織音‥零歌は一人で立つ。
「何よ。そのまま支えてくれたっていいじゃないの。皇。」
零歌は織音の身体や精神も完全に乗っ取ったらしい。織音の言葉は完全に彼女の口調だった。
「本当に守る目的だけなんだな?零歌。」
未来の皇希は真剣な表情で睨んだ。中身が零歌だが、不安感もあったようだ。
「彼女を傷付けないわ。約束するね。皇?」
零歌は織音らしい笑顔で言った。未来の皇希は怯んだように顔を背けた。
「‥ふん。じゃあな。ここからは別行動だ。」
未来の皇希はいとも簡単に結界を解き、階段を登っていく。
「‥‥‥」
《いい加減にして!?私を出しなさいよ!貴女に守ってもらう必要はないわ!》
織音は表に出れないようだ。精神のみに意識があるようで零歌に怒鳴っていた。
「無理よ。私の結界を壊せない貴女の力は弱いから。」
《‥‥‥》
零歌は言った。それは目の前に突き付けられた現実だった。織音は何も言わなかった。いや、言えなかった。
「大丈夫よ。何もしないから。‥‥解らない?私の“力”は?」
《‥‥!!》
織音は動揺しているようだ。零歌は織音の顔で微笑んでいる。今思えば、零歌はとごか織音に似ていた。零歌自身の身体もだが、雰囲気や性格もだった。
「‥‥さて、行こうかな〜。」
《‥‥‥》
零歌は階段を登り始めた。彼女は何を考えているのか、さっぱり解らなかった。
‐“天真の器”内部‐
皇希と絢音は明るい所にいた。
「皇希?ここは?」
絢音は言った。絢音すら知らない場所に皇希が行けるのは不思議なんだろう。
「主人の部屋だ。とはいえ、出てくるかは不明なのが不安だ。‥‥いるか?“化身”よ?」
皇希が自信を持たない事が珍しく、困惑な表情もまた珍しく思えた。
「‥‥山崎 皇希。何をしに来たのですか?」
いきなり少女が目の前に現れた。歳は8、9才ぐらいだろうか。ただ、少女なのかが解らなかった。その雰囲気は絶大なる威厳を纏っていたから。
また、絢音が目の前の少女を見た瞬間に驚いていたからだ。何かあるようだ。裸だったので、ここは“服”という物はないらしい。