少年-1
正彰は小学六年の時に同じクラスの真弓をいじめていた。
真弓はおとなしくて、体が弱くて、体育の時間はいつも休んでいた。
正彰は休み時間になると、いつも真弓に向かって「口なし女!」と言って罵った。
別にいつも黙っていたことが気に入らなかったわけじゃないのに。
正彰は体育の時間になると、いつも真弓に向かって「ずる休み!」と言って罵った。
別にいつも体育を休んでいたことが気に入らなかったわけじゃないのに。
他にも、物を隠したり、机に落書きしたりしたけど、はっきり言っていじめる理由
なんてなかった。
ただ、なんかいじめたかった。
真弓は二学期の途中から学校に来なくなった。
理由はもちろん、正彰のいじめ。
正彰は先生にこっぴどく叱られた。
今までもいじめのことで何度も叱られたことがあったけど、それとは比べものにならないくらいこっぴどく叱られた。
親にも生まれて初めて殴られた。
そして、正彰は初めて自らの罪の重さに気がついた。
正彰は先生と親に付き添われ、何度も真弓の家に謝りに行ったが、真弓は二度と学校に来ることはなかった。
小学校を卒業し、正彰は中学校に進学した。
ほとんどの生徒が正彰と同じ地元の中学校に進学したのに、真弓だけは離れた場所にある私立中学に進学した。
まるで正彰から逃げるように。
あんなにいじめていたのに、もう会えないと思うと正彰の目から自然に涙があふれた。
涙を袖で拭いながら、正彰は自分の気持ちに気が付いた。
そう。真弓のことが好きだったことに…
END
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!今回は、少年の心がテーマです。男の読者の方。あなたも少年時代に好きな子をいじめてしまったことありませんか?共感できた方もできなかった方も、ぜひ感想を聞かせてください。あと、よろしければ「少女」のほうも読んでみてください。