Not Father-4
だったら、
「…サチ、昨日はごめんな」
ひとまず素直に謝ろう。
「悪かったよ。くだらないことで急に怒鳴ったりして」
それで許してくれなければ、また他の手を考えればいい。
「許してくれるなら、顔、見せてくれよ」
君が許してくれるまで、俺は何回だって許しを乞うだろう。
お前が大切だから。
お前が、好きだから。
すると、サチはそろそろと顔を出した。
「もう、怒ってない…?」
何だ、そっちはそっちで俺の機嫌が悪いとでも思ってたのか。俺は恐る恐るこちらの様子を布団の中から伺っているサチに微笑んだ。
「怒ってないよ。だからお前も機嫌直せ」
「うん…」
起き上がろうとしていたサチをまた無理やり寝かせて、俺はある疑問をぶつけてみた。
「なぁ、何でお前、俺が怒鳴っただけであんなキレたの?」
「別にキレた訳じゃなくて…。あたしがあんなこと言ったから怒ってんのかなって思ったから…、ナオもあたしの顔見たくないと思ったし…」
「『あんなこと』って『お父さん』発言?だから別にアレは「それで怒ってたの!?」
俺の発言にサチは驚いた様子で、最後まで言い終わらないうちに言ってきた。
「何だ、あたし、ナオに『誕生日の記念にどっか連れて行って』って言ったことで怒ったのかと思った」
「…お前、そんなこと言った?」
「言ったよ。そしたらナオ何も言わないからさ、『お父さんみたい』って言って調子に乗らせようと思ったのに」
「あぁ…」
全く聞いてなかった。
やっぱり俺は人の話を聞いていないようだ。