Not Father-3
「おい、大丈夫か!?」
ガラッと教室のドアを開ける。中には数人の生徒が円を作っていた。俺はその円の中心へ行く。
「おい、どけって…」
中心で倒れている生徒を見て息を飲んだ。
「……!!」
目の前で倒れている生徒。
昨日俺が怒らせてしまった彼女。
「…とりあえず、こいつは俺が保健室に運んでくから、お前らは戻れ」
他の生徒を散らし、サチを抱えて保健室に向かう。サチは思った以上に軽くて、本当に食ってるのか不安に思った。
気絶しているサチを保健室のベッドに寝かす。
何だか前よりも痩せた気がする。
こいつも苦労しているんだろう。
学校では未だに友人を作れずにいて、ずっと苦しみ続けている。
もしかしたら、今日倒れたのもこれが原因か?
「うーん…」
30分程すると、サチが目を覚ました。まだ体をうまく動かせないらしく、目を覚ましたまま動かない。
「サチ?おい、大丈夫か?」
俺はすかさず話し掛ける。
サチは俺がそばにいたこと、いつの間にか保健室に運ばれていたことに驚いていたようだが、すぐに布団に潜ってしまった。
「おい、大丈夫かって聞いてんだけど」
「……」
「おい、…ったく、まだ怒ってんのか?」
「……」
俺は短くため息をついた。勿論、サチに対してではなく自分に対してだ。
今ならこのドタバタに便乗して、サチもいつもの調子に戻ってくれるという俺の読みは浅かったようだ。