時の隙間の誘惑-1
ここは、どこだろう。
美夏は目をあけた。真っ暗でなにも見えない。
てか、私、寝てたの?
今日は確か…真由子と映画を見に行く約束で…家を出て…電車に乗って…。
わからない…。
瞬きする度に睫毛が何かに触れることで美夏は目隠しをされていることに気付き、とろうとしたが手が自由にならない。
両手は頭上で何かで固定されているようだったが、足は地面についている。
背面にはかたくてひんやりとした、壁がある。
「…なに?これ…」
意識がはっきりとしてきた。
どう考えても、普通の状況ではないと気付く。
頭上で固定された手首はまったく動かせず、足は自由でもそこから逃げることも、そこがどこなのか知ることもかなわない。
「ちょ…誰か!ここどこ?助けて!」
じたばたしながら叫ぶ。
「…用がすんだら帰してあげるよ。」
聞いたことのない男の声が側からした。
自由を奪われている自分と得体の知れない男の存在。
「やだっ!何?誰?やだやだーっ!!誰か助けて!」
美夏は叫んだ。
「静かにしなよ…口を自由にしたのはそんな大声を聞くためじゃないよ。」
男の声は抑揚少なく冷静だ。
「あ、服は汚れたら困るだろうから脱がしてあるよ。」
耳元で囁くように言われた。
確かに背中に壁の質感がリアルに伝わる。
「あ…あ…っ」
美夏は恐怖で声がでなくなった。男も、その言葉を最後に一切言葉を発しなかった。
自分にわかる状況で、これから起こるであろう事が予想できた。
自分は間違いなく、この男に犯される。
その後は…殺されるかもしれない…。
ぞわぞわと言いようのない恐怖と不安。
「やっ…!」
突然何かが美夏の体を撫ではじめた。
ふわふわ柔らかい…。くすぐったくてたまらない。
「あ、や…やめてよっ。」
ソレは、美夏の胸のあたりを動き回り、乳首を執拗に撫でる。
「ひっ…あ…あん…ぁ…やだぁ…っはぁ…」
ぴくぴくと敏感に反応してしまう体。
こんな状況なのに。
カツン!
何かが床に落ちた。
直後、乳首にまた違う感触が襲う。
「あぁん…だめ…あ…はぁん…あん…」
生暖かく生きもののようなものがうごめく…。
男に舐められてるんだわ…。どんな男?さっきの声からすると…若そうな感じだった。