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時の隙間の誘惑
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時の隙間の誘惑-3

…つ、…なつ。

「美夏っ!」

名前を呼ばれて顔をあげると、真由子がのぞきこんでいる。
「真由子!来てくれたの?!」
真由子に抱きついて叫んだ。
真由子はそれを押し戻し、困ったような顔で
「やめてよ〜、みんな見るじゃない。」

見慣れた風景。
駅だ。いつも乗る駅。
ホームのベンチに座って眠っていたようだ。

…夢?

にしては、いやらしい夢だった。
欲求不満なのかしら、と美夏は傍らに置いてあったバッグを持ち、肩に引っ掛けた。
「何ソレ!?」
「えっ?」
真由子が大きめの声をだし、目を丸くした。
その目線の先を美夏も見た。
バッグに添えている自分の手…手首。
心臓が高鳴った。
手首は、赤く内出血している。
両方とも。

「どうしたの、大丈夫?」
「…うん。ちょっとぶつけただけだよ。」
「やだ〜、気を付けてよ…本当に?」
「うん。」

何かで縛られた跡…。
脳裏によみがえる行為。
夢ではなかった…?

「あ、だから今日時間遅らせてってメールしてきたんだぁ?」

メール?

「こっちも寝坊したとこだったから助かっちゃったよ。」
携帯の履歴を見ると、二時間前くらいに確かに真由子に送信している。

『ごめん、ちょっと遅れそうなの。待ち合わせ、13時でお願いっ!  美夏』

美夏には覚えのないメール。
あの男が送信したのは間違いないだろう。
真由子との待ち合わせだったことはメール履歴を見ればわかる…。怪しまれないように真由子にメールしたのだろう。


男のしたことは卑劣な行為だが、美夏は男に興味が湧いた。
あの時、殺されるかもしれないと恐怖していたのにもかかわらず。

あの男はいま駅を行き交う人の中に居るかもしれない…。この人混みの中から私をみつめているかもしれない…。

そう思うと、なぜだか胸が熱くなった。


「ね〜、美夏、お昼なんにしようか?私ねぇ…」
真由子の言葉をぼんやりと聞きながら電車に乗った。

あんなに気持ちいいHは初めてだったな…。

美夏はため息をひとつついた。


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