青い春-4
「何がおかしいのさ」
「いや、お前、馬鹿だろ」
「何でよ」
ムッとした私とは正反対に、少し笑いが治まったナオは優しい瞳でこちらを見た。
「だってさ、お前、『俺の隣』っていう特等席に常にいるのにそんなこと思ってたのかよ」
「…普通自分でそれを言う?」
「いやいや、まぁ、それは置いといてもさ、俺は嬉しいぜ、お前がここにいること。世界中の誰もが仮にお前が生まれたことを祝福しなくても、俺は祝福するよ。『サチ、生まれてきてくれてありがとう』ってな」
ナオの言葉と優しい眼差しで、また涙が出てきた。
「…ありがと。すごい嬉しい」
「だろ?居場所だろーが生まれた意味だろーが、そんなモン俺が作ってやるよ。居場所は『俺の隣』だろ?意味は…、『俺の支え』かな?」
「『支え』って?」
「いつもサチには助けてもらってるからな。お前は気付いてないかもしんないけど、お前がいるだけで十分俺は救われてるんだよ」
知らなかった。普段ナオがそんな風に思ってたなんて。
私はここにいていいんだ。そう思っていいんだ。
ナオの言葉で、また救われた気がした。
「サチ、ちょっと待ってな。今荷物取ってくるから。送ってくわ」
「えっ、悪いって」
「いーんだよ。誕生日プレゼントだとでも思っとけ」
「…じゃあ、ありがとう」
そう言うとナオは満面の笑みを見せてその場を去った。
ココアはもう冷たくなってたけど、何だか温かい気がした。
──27日。
ナオはその日、私にプレゼントをくれた。
小さなクマのぬいぐるみのキーホルダー。「淋しくなったらそれを俺と思え」と笑って言ってたナオの顔が子供っぽくて可愛かったことは、ナオには内緒にしておこう。