桜ドロップス-3
鼓動が早い。
頬の筋肉が緩む。
体中が熱い。
あぁ、先生。
あたし、幸せです。
例えあなたに大切な人がいても、あたしのことを生徒としてしか見てくれなくても、この『お返し』がただのチョコのお返しだとしても、あたしは今、とてつもなく幸せです。
家に帰って丁寧に開けた『お返し』の中に入っていたのは、桜色の小さな飴。口に含むと苺の味がする。箱には「サクラサク!!」と赤いペンで書かれていた。
「桜 咲く」と「佐倉 咲」。
先生、ダジャレかよと思って笑った咲の頬に一筋の涙が零れ落ちた。
桜咲く頃、あなたはもういない。
でもあたし、一生忘れないよ。
この桜色の飴の味も、これをくれたあなたのことも。
そして、あなたを想ったこの気持ちも。