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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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仮装情事。〜鉄の女と人気レイヤー〜-3

「ご、ごめんごめん。そんなに怒らないでよぉ」
ふふ、ざまみろ。心の中で思いっきり笑いながら、私は千奈から視線を外した。
「…からかっただけだ」
「あっ、ひっどぉい!」
「おあいこだ。千奈も私の事をからかっていただろう?」
「うっ……で、でも京香乗らなかったじゃんっ」
「乗ったかどうかは問題ではない。要はやったかどうかだ」
ちょっとだけ勝ち誇ってみる。千奈は口喧嘩に弱いから少しむなしいが。
「ふ、二人とも…話がずれてるよ…?」
で、その様子を見てた湊が横から仲裁に入る。だがその彼女も論点が少しずれてる。…まあ気にしないでおこう。
「おっと、そうだったな。済まない、湊」
ちょうどいいから、湊の言葉に乗って話を強制終了。
「…とにかく、この日だけは絶対に無理だ。既に抜けられない予定が入っている」
ついでに、この日だけは駄目という事を強調する。
「…はいはい…予定があるのはわかりましたって。じゃあ、いつならいいか早めに確認しておいてよね?」
そしたら案の定、千奈は諦めてそれ以上追及しない。私は口元に笑みを浮かべながら、口を開いた。
「ああ、わかった。早めに確認しておく」


だが。

内心では、結構千奈に感謝していた。
正直な話、「私用」についてはあまり知られたくない。


……で、その「私用」当日。
私はあるイベント会場の一角に、「参加者」として姿を現した。
「…あ、アイリさんっ。おはようございますっ」
その近辺にいた人が皆振り返り、私の姿を認めるなり慌てて頭を下げる。それを見、挨拶の言葉を聞いていると、自分の中で「スイッチ」が入った。
「おはようございます」
女らしい調子の声。
「皆さん、お久しぶりです」
普段使わない敬語。
「二条 京香」の素顔が、自分の中で用意した仮面の下に消える。
私は鉄の女「二条 京香」から――

「私はもう着替えてきてしまいましたが……皆さんの準備の方は、どうなってますか?」

――コスプレイヤー「アイリ」へと変貌する。

私は、会社の人間には知られていないもう一つの顔を持つ。
それは、その世界では意外と名の知れた、アニメキャラ専門のコスプレイヤー、「アイリ」。
女性にしては高い身長のせいで、所謂ロリキャラに扮するのは難しいが、その身長と程良く整ったスタイルのおかげで、ハイティーンや成人女性、更には男性キャラまで、数多くをこなす。
元々はふった際のストレス解消のために、少し変わったものをしてみようと思っただけなのだが、気がつくと参加するだけで人が集まる程の人気になってしまった。以来、完全に趣味となっている。…まあ、衣装代とかで懐はそれなりにさびしくなるが、元々大した趣味があるわけでもなかったから、存分にハマっている。


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