仮面の見分け方-1
朝の学校の廊下を一つの仮面が颯爽と歩いていく……
キャー!瀬戸会長ー!!
カッコイいー!!
やれやれ、今日も仮面の生活か……
人間なんて虚しい生き物だ。
上辺だけの表情や仕草にすぐ騙される……
見ろ、俺がにこやかに手を振っただけで黄色い声だ。
くだらない…
こんな生活を俺は続けていくのか…?
…………
ガチャ
「お早う」
俺が生徒会室に入ると役員が笑顔で迎えてくれる。
が、この全校から選りすぐった役員でさえ俺の仮面には気付かない……
おそらく、完全無欠な生徒会長様なんだろうなこいつらから見れば。
「えっと、今日は確か新しい生徒が役員会入会を希望してたんだね?」
「はい、一年五組の菊池雪です。よろしくお願いします会長。」
目を向けた場所には大人しそうで如何にも「私は優等生です」と主張しているような女がいた。こういう女は嫌いじゃないが、面白みに欠けんだよな……
「ふむ、成績優秀でスポーツも秀逸、人付き合いも良い……まぁ入会条件は完璧だけど、それじゃぁ菊池さんはなんで生徒会役員を希望したのか理由を聞いても良いかな?」
「そうですね……、会長に興味を持ったからって…理由になりますか?。」
現役員達はそれぞれ仕事をしているが、またか、といった表情をしている。
「僕に興味?悪いけれど、そういう不純な動機で役員にするわけにはいかないんだよ……。残念だけど、君は役員には向いていない。」
いかにも無念そうに心苦しそうに言う。
すると、
「確かに、不純と言われればそれまでかもしれませんが、会長が考えていることは間違ってます。」
と、幾分も取り乱さずに言い放った。
チッ、今までの奴らはここで泣くかして帰るんだが……しぶといな…。
「分かった、邪推したのは謝るよ。それでほんとの理由は?」
その問いには答えずに菊池雪は席をたち、生徒会室のドアを開け、
「放課後に屋上で…」
とだけ言い残し、ドアを閉めた。
コツコツという足音が段々と小さくなる……
なんなんだ一体……